本記事では、近年のIFA業界への参入傾向とIFA法人の収益源について解説し、加えて、兼業を行っているIFA法人が行っている兼業ビジネス例についてご紹介します。

◇近年のIFA業界への参入傾向とは?
 近年のIFA業界への参入の傾向としては、保険代理店業や不動産業を始めとした金融商品と既存の取扱業務との親和性の高い業界からの参入に加えて、相続に関連する業務等を扱う士業からの参入も増えています。
 このように新規参入が続く、IFA業界ですが、IFAの存在が社会に浸透している欧米と比べれば、まだ日本におけるIFAの知名度は高くなく、マーケットはいまだ未成熟であり、新規参入の余地も十分です。
 さらに、2024年1月から新NISA制度が開始されたことから日本社会の投資への関心の高まりは、続くものと考えられ、IFA業界への参入の機運は引き続き高まっていくものと思われます。
 IFA事業者数は、2022年6月時点の642社から2024年5月時点で686社へと増加しており、経済情勢の大きな変化が発生しない限り、今後もこの増加傾向が続きそうです。
 一方、このIFA事業者の増加傾向を受けて大手証券会社を中心に業務委託契約を希望する事業者に対する選別を厳格化する傾向が見受けられます。そのため、金融業界での実務経験者が社内にいない事業者が新規で大手証券会社から業務委託契約を締結してIFA事業者として新規の登録を行うのは非常に困難となっています。
 これから、IFA事業者として新規登録をお考えの場合は、選別を厳格化している大手証券会社ではなく、積極的に業務委託契約を締結できるIFA事業者を探している小規模な証券会社と業務委託契約を締結することを検討するのも良いかもしれません。

◇IFA業界へ参入する際、新たに法人を設立する必要があるのか?
 IFAとして開業するためには、基本的には、法人である必要があるのですが(※数は少ないですが、個人事業主としてIFA業界に参入しておられる方も存在します)、IFA業界へ参入を希望する方から、「現在の法人とは別に新たに法人を設立する必要はあるのか?」というご質問を受けたことがあります。
 基本的に法令における規制等が無い場合は、現在の法人のまま、証券会社等との間で金融商品仲介業業務委託基本契約を締結した上で、金融商品仲介業者として登録することで、IFA業界に参入することができます。

◇IFA法人の主な3つの収益源
  IFA法人の収益源としては、①顧客の取引手数料、②顧客の預かり資産(投資信託)からの管理報酬、③紹介料の三つが考えられます。
 以下にそれぞれの詳細についてご紹介いたします(※数字については、一例であり、詳細な数字は実際とは異なる場合があります)。
①顧客の取引手数料
 業務提携先の証券会社のシステム利用料が発生する場合は、顧客から得た手数料収入のうち2~4割を業務提携先の証券会社に支払必要があります。

②顧客の預かり資産(投資信託)からの管理報酬
 顧客預かり資産の残高に対して0.5~2.0%程度が目安となります。
 近年、IFAとの提携強化を進める証券会社の中には、取引手数料よりも、この顧客の預かり資産(投資信託)からの管理報酬の重視へと収益モデルを変更している証券会社もあるようです。

③紹介料
 不動産仲介業者等の他業種を顧客に紹介し、成約時に手数料の一部を紹介料として得ます。事業を経営している顧客に対しては、M&A仲介会社を紹介したり、相続等に詳しい士業を紹介し、そこから紹介料を得るビジネスモデルも存在します。
 一般的に、この紹介料から得られる収益は、小さなものになりがちですが、顧客のニーズを満たすことができる紹介先を紹介できることは、顧客との間に長期的な関係を築くための一助となります。

◇兼業を行っているIFA法人が行っている兼業ビジネスの例
 IFA法人の中には兼業を行っている事業者も多数あります。ここでは、IFA法人が行っている兼業ビジネスの例をご紹介します。
 金融庁が作成したフィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究によれば次のような事例があげられています。

「投資助言業(ラップ口座フィー)、税理士・会計士事務所(税務・会計関連報酬)、保険代理店(保険関連収益)、FPサービス(FPフィー)、その他代理業・専門サービス(銀行代理業、確定拠出年金)等」(フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究より引用)