近年、投資に関する顧客の相談に応じるためにFPがIFA事業者として登録し、金融商品を販売するケースが増加しています。
 本記事では、FPがIFA事業者として登録する際に注意すべきことについて解説します。

◇FPがIFA事業者として登録する際に注意すべきこと
 FPがIFA事業者として登録する際に注意すべきこととして次のようなものがあります。

①個人事業主として活動しているFPの場合は、新たに法人を設立する必要があり、IFA事業者として登録し、事業を開始するまで最短でも半年はかかる。

②IFA事業者として登録するには、証券会社等の審査を受け、これに合格する必要があるが、多くの証券会社は、2名以上の証券外務員一種又は二種試験合格者が在籍していることを条件としており、一人で活動しているFP事業者は、新たに従業員を雇用する必要がある。

③FP事業での顧客の金融商品のニーズと合致する金融商品を取り扱っている証券会社等との間で業委託契約を結ぶ必要がある。

 ①~③の他に、注意すべき点としては、将来的に投資助言・代理業への登録を考えている場合、顧客への金融商品の販売を前提としているIFAと顧客への投資助言を行うことで報酬を得る投資助言・代理業の間には、ある種の利益相反が生じるため、実務上IFAと投資助言・代理業への登録を同時に行うことは、非常に困難となっています。
 そのため、FPがIFA事業者として登録を考える際には、IFAと投資助言・代理業のどちらが自社のビジネスに適しているのかを双方の特徴を踏まえた上で選ぶ必要があります。
 また、FPが金融ビジネスへの参入を考える場合には、特定の証券会社等に所属する必要のない金融サービス仲介業(※1)への登録や金融経済教育推進機構が認定する金融経済教育推進機構認定アドバイザーへの登録も考えられますので、自社の状況やビジネス上の展望を踏まえて複数の選択肢から最善の選択肢を選ぶ必要があります。

※1 
 金融サービス仲介業は、2020年6月に金融商品の販売等に関する法律が改正され、金融サービスの提供に関する法律が制定され、同年11月1日に同法が施行されることで誕生した比較的新しい業態です。
 従来、銀行・証券・保険それぞれの分野で規制が存在し、それぞれの分野で事業を行う場合には、それぞれの分野での登録が必要でしたが、金融サービス仲介業では、いずれか一つに登録することで、銀行・証券・保険・貸金の分野に参入することが可能になりました。
 また、金融サービス仲介業では、従来の各仲介業よりも、より顧客に寄り添った金融サービスの提供を行うことが期待されており、例えば、IFA事業者とは異なり、証券会社等に所属せずに業務を行うことができます。


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