本ブログでは、投資助言・代理業とIFA事業(金融商品仲介業)の許認可情報を中心に発信していますが、今回は、両者と関連する金融サービス仲介業についての概要・人的要件・登録手続きについてご紹介します。
金融サービス仲介業について知ることで、投資助言・代理業とIFA事業(金融商品仲介業)についての理解も深まるものと考えておりますので、参考にしていただければ幸いです。
◇金融サービス仲介業の概要
金融サービス仲介業について知ることで、投資助言・代理業とIFA事業(金融商品仲介業)についての理解も深まるものと考えておりますので、参考にしていただければ幸いです。
◇金融サービス仲介業の概要
金融サービス仲介業は、2020年6月に金融商品の販売等に関する法律が改正され、金融サービスの提供に関する法律が制定され、同年11月1日に同法が施行されることで誕生した比較的新しい業態です。
従来、銀行・証券・保険それぞれの分野で規制が存在し、それぞれの分野で事業を行う場合には、それぞれの分野での登録が必要でしたが、金融サービス仲介業では、いずれか一つに登録することで、銀行・証券・保険・貸金の分野に参入することが可能になりました。
また、金融サービス仲介業では、従来の各仲介業よりも、より顧客に寄り添った金融サービスの提供を行うことが期待されており、例えば、IFA事業者とは異なり、証券会社等に所属せずに業務を行うことができます。
金融サービス仲介業者は、金融商品の販売等に関する法律に基づき、①銀行、②証券、③保険、④貸金の分野で、次のような商品の仲介業務を行うことができます。
①銀行の分野
預金契約締結の媒介、融資契約締結の媒介、為替取引契約の締結の媒介
②証券の分野
有価証券の売買の媒介、上場有価証券の売買の委託の媒介、有価証券の募集等の取扱、投資顧問契約又は投資一任契約の締結の媒介
③保険の分野
保険契約の締結の媒介
④貸金の分野
貸付契約の締結の媒介
◇金融サービス仲介業の登録難易度と登録事業者数
◇金融サービス仲介業の登録手続き
◇金融サービス仲介業の登録難易度と登録事業者数
金融サービス仲介業に登録している事業者数は、2024年12月の時点で18事業者のみとなっています。
また、金融サービス仲介業は、幅広い業務領域を有することから、これに登録することは、投資助言・代理業の登録に比べても困難であり、登録している事業者も一定以上の資本力を持つ事業者が多い傾向にあります。
◇金融サービス仲介業に登録するための人的要件
◇金融サービス仲介業に登録するための人的要件
金融サービス仲介業では、①銀行、②証券、③保険、④貸金の分野のそれぞれで業務の種別に応じて次のような人材を配置することが求められます。加えて⑤内部監査担当者を設置することも求められます。
①銀行(預金等媒介業務)
預金等媒介業務に関する知識と実務経験を有することに加え、金融サービス提供法、銀行法、個人情報保護法、犯罪収益移転防止法、外為法等の法令、民法、商法、会社法、刑法等について預金等媒介業務に関連する部分だけでなく、広くコンプライアンスに関する事項について専門的な知識を有する法務コンプライアンス統括責任者を配置することが求められます。
②証券(有価証券等仲介業務)
外務員試験に合格し、有価証券等仲介業務分野での実務経験を有する役員や内部管理責任者を適正に配置できる組織体制の構築が必要です。
③保険(保険媒介業務)
登録申請者が法人であれば、保険媒介業務に従事する全ての者が保険媒介業務に関する法令、保険契約に関する知識及び実務経験を有することを証明できる試験に合格している必要があります。
④貸金(貸金業貸付媒介業務)
常務に従事する役員に、貸付業務の実務経験が3年以上ある者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者が必要です。加えて同業務を営む営業所ごとに、貸付業務の実務経験が1年以上ある者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者が、常勤の役員又は使用人として1名以上在籍していることが求められます。
⑤内部監査担当者
内部監査担当者の設置が必要です。自社で内部監査担当者を用意できない場合でも、金融サービス仲介業では、その規模等に応じて、内部監査に代えて外部監査を利用することも可能です。
◇金融サービス仲介業の登録手続き
登録申請書の提出先は、登録申請者の主たる営業所又は事務所を管轄する財務局長となっており、業務方法書等を財務局長に提出してその審査を受ける必要があります。
また、登録申請者は、営業保証金として事業開始時に1000万円の保証金を供託する必要があります。
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