本記事では、投資助言・代理業者に求められるコンプライアンス体制の概要とコンプライアンス体制構築のために、経営者に求められる役割について解説します。

◇投資助言・代理業者に求められるコンプライアンス体制
 
 投資助言・代理業者に求められるコンプライアンス体制の構築のためには、次のような社内体制を構築する必要があります。
①コンプライアンス担当者の配置
 投資助言・代理業に関する法令や規制に精通しており、金融商品取引業におけるコンプライアンス担当者としての実務経験が最低3年程度必要。社内のコンプライアンス体制の構築・維持・改善を図ることが出来る人物を専任のコンプライアンス担当者とすることが望ましいとされています。

②内部監査の実施
 投資助言・代理業務に関する内部監査を定期的に実施し、社内の問題点を把握し、改善できる体制を構築する必要があります。

③社員教育の実施
 投資助言・代理業務に関する法令や規則、社内ルール等について社員に対して適切な教育を実施することが必要です。この点は、日々の業務に忙殺される中で、後回しにされがちなので、定期的に社内教育の実施を行える仕組みを社内に事前に構築しておく必要があります。

④リスクマネジメントの実施
 投資助言・代理業務に関するリスクを適切に評価し、リスクマネジメントができる社内体制を構築することが必要です。

◇コンプライアンス体制構築のために経営者に求められる役割
 投資助言・代理業者のコンプライアンス体制構築のために、経営者に求められる役割は次のようなものです。

①社内のコンプライアンス文化の醸成
 経営者が企業文化に与える影響は甚大です。経営者が利潤の追求のために、コンプライアンスを軽視する姿勢で経営を行えば、形式的にコンプライアンス体制を社内に構築していてもコンプライアンス体制は有効に機能しません。経営者は、自身がコンプライアンスに対する意識を高め、従業員にも浸透させる必要があります。

②コンプライアンス担当者への支援
 経営者は、コンプライアンス担当者が円滑に業務を遂行するための人員や予算を確保するとともに、コンプライアンス担当者の提言に耳を傾け、時には心理的な支援を行うことも必要です。

③内部監査の推進
 経営者は、内部監査の実施を推進し、積極的に問題点を把握し、見つかった問題点を解決する必要があります。

④リスクマネジメントの推進
 経営者は、リスクマネジメントの実施を推進し、投資助言・代理業務に関するリスクを適切に評価し、経営に生かしていくことが必要です。